すべてを失ったR・Jは絶望し 塔のてっぺんに上がって 風琴の弦をすべて切ってしまった。
そして 塔から 出ていった。
バラの花園は 塔をかくすように 伸びはじめ すべてを 拒んだ。

男の思いは それだけではおさまらず、通り過ぎた草原を砂漠に変え、森を荒れ狂わせ 海を凍らせた。

“愛しているよ”
君の優しいほほえみ あたたかくて やわらかい肌・・・
・・・あれは 君の好きな曲だった

「もう 何もない 本当に 何もない」
なかば 狂いかけた頭で そう思い 見知らぬ台地で 果てた。

風琴は 愛の曲を 奏でる


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